先日、第二種電気工事士(電工二種)という人気の資格を取得することができました。独学&初受験での一発合格です。
各地では実技講習会など行われていますが、第二種電気工事士は独学でも十分に一発合格できる試験だと思います。
一発で試験に受かるために重要なのは、効率良く無駄のない勉強法を心がけることだと思います。特に多忙な社会人にとっては、限られた時間をいかに有効に使うかが合格のカギです。
そこで、今回はこの私が実践した効率のよい勉強法、おすすめ参考書や工具、合格のコツなどをまとめてご紹介したいと思います。
第二種電気工事士に効率良く一発合格したい方はぜひ参考にして下さい。
第二種電気工事士を選んだ理由
第二種電気工事士は私の仕事とは一切関係ありません。
しかし、公共職業安定所(通称ハローワーク)に行って最初に取得を推奨されるのが電工二種なので、万が一のリストラに備えて電工二種の資格を取得をしておくことにしました。
求人市場での電工二種免許保持者の需要は高くて、特に「ビルメン四点セット」と呼ばれるビルメンテナンスの仕事をするために必要となる資格の一つということもあり、技術系資格の中では安定した人気があります。
また、電工二種の試験は上期・下期とあるため、年に2回チャンスがあるのだと誤解をされる方が少なくありません。
しかし、申し込みのチャンスは年に1回しかありませんので、実質、試験にトライできるのは年に1回と考えるべきだと思います。
例えば、突然リストラされ、再就職のために急遽資格が必要となったとしましょう。この時、すでに試験申し込み日が過ぎていた場合、次の申し込みのチャンスまで、最悪は1年待つことになってしまうのです。
[追記] 平性28年度より、上期、下期のそれぞれに試験申し込み期間が設けられることになったようです。しかし、上期と下期のいずれかしか受験ができませんので、実質、年に1回しかチャンスがないというのは変わらないですね。
従って、私のように将来の保険のために取得するような方は、時間的に余裕があり、記憶力が衰えていない若いうちに取得しておくべきだと思います。
電工二種の合格率や難易度は?
電工二種人気資格だけあって受験者数はなんと毎年約9~10万人。しかも、年々増加傾向にあります。
電気工事士の求人需要が増えていることもあると思いますが、それ以上に、リストラされて再就職のために取得を目指している人が増えているのではないかと勝手に思っています(^^;
一方の合格率ですが、こちらは大きな変動はなく、ここ数年はおおよそ60~70%前後で安定推移しており、難易度としてはさほど難しくない部類に入ると思います。
受験年度 | 筆記試験 受験者数 |
筆記試験 合格率 |
技能試験 受験者数 |
技能試験 合格率 |
---|---|---|---|---|
平成23年 | 95,075 | 63.1% | 52,341 | 69.5% |
平成24年 | 99,725 | 58.2% | 75,205 | 70.6% |
平成25年 | 109,564 | 62.4% | 84,181 | 76.0% |
平成26年 | 105,528 | 59.0% | 77,881 | 74.2% |
ただ、受験者の多くは専門学校等で電気系の科目を学んでいるため、全くの素人にとっては決して簡単な試験ではないと思います。
また、実技試験は力が入る作業もあるため、特に力のないか弱い女性にはハードルが高めの試験ではないかと思います。
おすすめ参考書・過去問・工具類
まずはおすすめの参考書・過去問・工具をまとめてご紹介します。
全部揃えると結構な値段がしますので、資格取得の意思が固まり次第、消費税が増税される前にまとめて買い揃えておくことをおすすめします。
今回は私が購入した全ての商品を紹介していますが、実際には1~5まであれば十分でしょう。また、書籍は毎年改定されるので、私が購入した2014年版でななく、最新版をリンクしています。
① ぜんぶ絵で見て覚える 第2種電気工事士筆記試験すぃ~っと合格
筆記試験向けの参考書です。電工二種用の参考書としては、本書が一番有名かつ定番だと思います。手書きの絵が随所に使われていて一見するとわかりやすそうに感じるのですが、実際には説明が不足していてわかりづらいところもあります。ただ、それは他の参考書も同じなので、まずはこれを買うのが良いと思います。
過去10年分の問題集(過去問)です。電工二種の筆記試験はほとんど同じ問題が繰り返し出題されますので、ひと通り参考書を読んだ後は、ひたすら過去問を解いて試験に慣れることが高得点の近道です。
技能試験用の参考書です。全編にわたって写真とカラーイラストによる説明となっているので、非常にわかりやすいです。複線図の描き方は参考書によって微妙に異なる場合もありますが、気にすることはありません。こちらも定番の本なので、迷わず買っておいて間違いはないでしょう。
④ 電気工事士技能試験 工具セット DK-18 (ホーザン)
技能試験に必要な工具が全て含まれたセットです。すでにドライバを持っている人は多いかもしれませんが、残りの工具を個別に揃えると結局は高くつくので、このドライバ混みのセットを買ってしまった方が安くあがります。
また、セットに含まれるVVFストリッパーP-958は電工二種の技能試験向けに開発された特別仕様なので、試験に受かることだけを考えたら、一般的なVVFストリッパーではなく、こちらを買うのが良いです。
⑤ 準備万端 (1回練習分) 第二種電気工事士技能試験練習用材料 「全13問分の器具・電線セット」
実技の練習に使用する器具と電線に加え、DVDまで付いたセットです。このセットで全13問が1回練習することが可能です。実技試験に自信がない方は最初から2回練習用を購入されるのが良いです。現在はホーザンからも同様のセットが出ているのでこちらの方が良いかもしれません。
電線だけのセットです。追加練習用に買いました。
VVFストリッパー用の補助ゲージです。右利き専用。これを使うと電線の長さを確認しながらストリップ・カットが可能になります。最初のうちはこれに頼りながらカットしていましたが、作業に慣れて手早くできるようになると、このゲージが邪魔になってきて、途中から使わなくなってしまいました。主に長さはVVFストリッパーP-958についてるメモリを使いました。
⑧ フリクションボール3 05 ライトブルー (パイロット)
消せるボールペンの3色タイプです。技能試験で複線図を見やすく描くのに活躍してくれます。フリクションペンはインクの減りが早いので、合わせて替芯も買っておくのが良いと思います。
電工二種の筆記試験対策
使うのは参考書と問題集(過去問)を各一冊のみです。
おおよそ筆記試験の3ヶ月前にスタートすれば多忙な社会人の方でも十分間に合うと思います。
参考書を2回通し読み
まずは参考書「ぜんぶ絵で見て覚える 第2種電気工事士筆記試験すぃ~っと合格」を2回通しで読みました。おそらく、最初は全く理解できない人は多いと思いますが、安心してください。私はこれでも電気系の大学を卒業しているのですが、同じ電気でも分野が違うため、ほとんど理解できませんでした。
特に数式や数字が多数出てくるため、面食らうと思います。とりあえず、意味不明ながらも参考書を最後まで読み進めれば、全体的な雰囲気がわかってくるので、最初はつらいですが、とにかく軽くで良いので2回、通しで読みます。
過去問10年分を解く
続いて過去問「第二種電気工事士筆記試験標準解答集 」を解いていきますが、最初から回答と参考書を見ながら解くのがポイント。この時点では解けるわけないので、回答を見て納得できればOKです。
過去問を2年分程度解くと、毎回似たような試験が出ていることに気づくと思います。試験傾向も多少は変わっていくので、3年分やれば十分だと思いますが、私は一応、10年分を通しでやりました。この時点で、何も見なくても問題の半分程度は解けるレベルになりました。
試験の傾向が頭に入ったので、今度は参考書を見ながら、暗記すべき点を絞ることができると思います。自分の弱点、覚えるべき点はポストイットなどでマーキングを行いつつ、参考書を繰り返し読んで頭に摺りこんでいきます。
覚えにくい箇所は強引な語呂合わせでもいいので、なんとか暗記していきましょう。
試験の1週前になったら、最後の仕上げとして過去問を再び3年分をこなしました。今度は回答を見ず時間も計りながら解きました。この時点で8~9割が取れれば安心だと思います。実際には6割で合格なので。
過去3年の問題で解けなかった問題、悩んだ問題についてはマーキングして、試験当日までに繰り返し暗記して完全に習得します。
私の場合、自己採点ですが本試験では満点が取れたと思います。
電工二種の技能試験対策
技能試験のポイントは複線図の書き方をマスターし、後は練習あるのみです。
まずは「第二種電気工事士技能試験候補問題丸わかり」を通しでざっと読みましょう。実技試験がどういうものかを理解するとともに、複線図の書き方をマスターします。
複線図の書き方や、寸法の決め方などは参考書によって違うので注意してください。最近ではネットのブログやYoutube動画に情報がありますが、初期の段階であれこれと参考にするのは逆に混乱を招きます。まさに私がそうでした・・
参考書は必ずしも「第二種電気工事士技能試験候補問題丸わかり」である必要はないですが、何か一つに決めて習得するのが良いでしょう。
複線図の書き方をマスターしたら、参考書を見ながら実際に工具を使って試験問題を2,3問解いてみます。最初は時間は気にしなくて良いでしょう。
その後、ある程度コツがわかってきたら、実際に時間を正確に計測しながら残りの問題をこなしていきます。私は追加で電線セットを購入し、最終的に全12問を2回やりました。
実際に時間を測ってみるとわかるのですが、試験時間「40分」は意外と厳しいです。正直、悩んでいる余裕はなく、技能試験の最大のポイントはいかに効率良く作業を行うかであるかがわかると思います。
そこで効率良く作業を行うポイントをまとめておこうと思います。
1. 複線図はフリクションペンで色分けして描く
複線図はただ合っていれば良いというものではありません。見やすくて作業手順がわかる複線図を素早く間違いなく書くことが重要です。
ちょっと恥ずかしいのですが、実際に私が練習で書いた複線図の例をアップしておきます。非常に見づらくて申し訳ないのですが、3色フリクションペンを使い見やすく色分けをして書いたつもりです。
フリクションペンは通常のボールペンと違って簡単に消せますし、消しゴムのような消しカスもでませんので、今回のような時間に余裕が無い試験にはかなり効果的だと思います。
一見して電線種別やリングスリーブ種別がわかるようにしています。書き方の主なポイント(コツ)を説明しておきますと、
1重囲みはVVF1.6、2重囲みはVVF2.0、右上の3は3Cのマークです。青字のA~Fのアルファベットは電線の識別記号であり、これは作業の順番も示しています。電線は寸法取り後、ペンでこのA~Fのアルファベットを書き入れたうえ、アルファベット順に作業をしていくというわけです。机が狭いので電線がごちゃまぜになってしまうため、このような識別が効果的なのです。
○、小、中、コはリングスリーブのダイス(刻印)、差込みコネクタを意味しており、W、B、Rは電線の色を意味しています。W2、B2と2が付いてるものは電線太さが2mmという意味になります。
これはあくまで一例ですので、自分なりのルールを作るのが良いと思います。
2. 各器具のシースと皮膜の剥ぎ取り寸法は記憶する
ケーブルの皮膜をどれだけ剥くかは、人によって違いはあると思いますが、いずれにしても、各器具の剥ぎとり寸法は一覧表にまとめて記憶しておくことをおすすめします。
これによって、迷いなく作業を進めることができます。繰り返しますが、とにかく試験中は考えている余裕はありません。
器具 | シース剥ぎ取り | 絶縁皮膜剥ぎ取り | 残る皮膜 |
ランプレセプタクル | 5cm | 2.5cm | 2.5cm |
埋め込み器具、スイッチ | 10cm | 2.5cm | 7.5cm |
露出コンセント | 5cm | 4cm | 1cm |
引っ掛けシーリング | 2cm | 1cm | 6~7mm |
端子台、ブレーカー | 5cm | 1cm | 4cm |
3. 電線の寸法取りにはVVFストリッパを活用する
技能試験では電線の寸法取りを何度も行うことになりますが、いちいち布尺(メジャー)を使うとなると、そのたびに持ち替え作業が発生してかなりの時間ロスになります。
上で紹介したホーザンのVVFストリッパは電工二種の技能試験向けに作られているだけあって、様々な機能が盛り込まれており、寸法取り用のスケールまで付いているのです。
しかも、1cm刻みの12cmスケールと1mm刻みの20mmスケールが付いているので、このスケールを使いこなせるようになれば、布尺を使う機会はほとんどなくなると思います。
4. 単純作業をしている間に次にやるべき作業を考える
作業に慣れてくると、決まりきった単純な作業については無心で作業ができるようになります。例えば、ランプレセプタクルへの結線と輪作りとか。
そういった黙々と作業する時間は、常に次にやるべき作業を考えるようにしておくと良いと思います。
一つの作業が終わってから、『さて、次はどの作業をしようかな』とか考えてしまう時間があり、これが意外と時間のロスになるのです。
5. 予想問題を試験前日に2ちゃんねるでチェックする(笑)
2ちゃんねるに電気工事士のスレッドを見ていると、試験直前に予想問題を書いてくれる親切な方が登場する場合があります。
この予想問題は講習会で教えてもらった情報らしいのですが、この予想の的中率が高いのがポイントです。
なぜ的中率が高いかというと、電工二種は受験者数が非常に多いため、試験問題が決まると、試験問題用の器具の大量注文が業者に入るため、その業者経由で情報がリークするようです(^^;
以下が実際の書込みです。
79 : 名無し検定1級さん[sage] 投稿日:2014/07/26(土) 13:13:26.65 ID:wizJ8476 [4/26回]
>>69
どうだろうっていうか、もう講習会とかで情報は出回ってるよ
その情報は部品発注の状況から予想されてるものであって
今回は4,5,9、11というものだった
そして今日は4が出た
それなりに信用できる予想ってことよ
結局、平成26年の上期の試験は4と11が出ましたので、予想問題がズバリ的中したというわけです。
必ずしも親切な人が書いてくれるとは限らないのですが、試験前は一応、2ちゃんねるのスレッドをチェックして、予想が書かれていたら、試験前日はこの予想問題を集中的に予習することをおすすめします。
あとは講習会に参加した友達がいれば、その友達に教えてもらうかですね。
資格取得費用を節約する
資格に受かったら、受験用に購入した工具や電材はヤフオクなどで売却してしまうことをおすすめします。
私のように将来に備えて資格を取得した人にとっては不要ですし、実際に電気工事士の職に付く予定の方であれば、より本格的な長く使える工具を購入した方が良いと思います。
私はAmazonのマーケットプレイスで売却したのですが、工具セットは1万、電材(余った電線付き)は7千円程度で売却できました。
また、売却のタイミングですが、後期試験の受験者の方々の多くは試験日の1.5ヶ月ぐらいから中古電材をヤフオクで物色しはじる傾向があるようですので、その頃を狙って出品するのが良いでしょう。そのためにも、下期より上期試験を受けるのがおすすめです。
初心者にはユーキャンの通信講座がおすすめ
ここまで独学で電工二種に合格する方法を詳しく書いてきましたが、何を言ってるかよく理解できず、全く合格できる自信がわいてこないという方もいらっしゃると思います。
特に文系で電気の知識がまるでないという方や、分からない問題に出会った時にネットや参考書を使って自力で回答を導けない方にとっては、そう簡単には合格できないと思います。
そういった方には通信講座を使うのも一つの手です。通信講座にも色々ありますが、特におすすめなのがユーキャンの「第二種電気工事士講座」です。
ユーキャンの通信講座は充実した8冊のテキストに、技能試験用のDVD、さらには練習用の材料まで含まれているので、あとは工具さえ買えば他に何もいりません。
特に初心者に嬉しいのは、わからないことがあればメール等で気軽に質問できる充実したサポート体制が用意されていることです。これはユーキャンならではの特徴で、独学で頼れる仲間がいない場合には重宝すると思います。さらに教育訓練給付制度を使って費用の20%が戻ってきますので、会社にお勤めの人には特におすすめできる講座です。
最初に説明しましたが、電工二種は実質的に年に1回しかチャンスのない試験ですから、不合格になった時のロスは非常に多いです。確実に1回で合格するには、自分が独学で頑張れるかをよく考え、不安であれば通信教育に頼る方が多少割高になっても結局は安くつくと思います。
ユーキャンは教材到着後でも返品OKなので、気になる方はまずは詳しい資料を入手するのが良いと思います。資料請求はもちろん無料ですし、ユーキャンは電話勧誘などは一切しませんのでご安心を(笑)